コメが72年ぶりに

先物取引を解禁した。東京と大阪で取引される。
前掲で電気をコメに例えたが、コメもまだまだ閉鎖的な市場形態である。日本にはJAという巨大組織が君臨し、農産物の自由な価格設定や流通の妨げになっている。これも地域分断された電力会社に似ている。
欧米ではほとんどの作物や商品が市場取引となり価格が決定している。これには現物取引の他に当然、先物取引も入る。しかし閉鎖的・封建的な日本では、コメは主要食糧であり市場価格はまかりならん、という時代錯誤が横行していた。72年もの間、コメの価格が生産者価格で決定され、市場価メカニズムという経済原則から外れていた。
世界では、小麦、オオムギ、大豆、トウモロコシ、ポークベリー、冷凍オレンジジュースなどの先物市場があり、原油やメタル(金、銀など)とともに市場価格が形成されている。もしもコメが日本にとって必要な産品だから、投機筋が入るのはけしからん、と言うのであれば、石油製品は日本人の生活に不可欠ではないのだろうか。
一方、電力価格はあいかわらず発電・送電・配電原価の積み上げという前近代的な総括原価方式がまかり通っているし、経産省も電力会社の言いなりである。
ここでコメの72年ぶりの市場価格化(先物市場の導入)に際して、電力価格も市場価格化にする機会である。電力取引に市場価格メカニズムの導入を妨げる大義名分がコメの自由化で消滅した。