迷走するアメリカの外交政策

リビアに対する連合諸国の攻撃が始まっている。
口火を切ったのはアメリカだが、この主導権をEUに渡そうとしている。そしてさらに連合諸国としての関与になりつつある。反政府側を支援しているの国々に、(アルジャジーラが本拠していている)カタールに加えて、UAEやヨルダンが加わる可能性が出てきている。
これはアメリカにとって良いことだろう。というのは、米国内でリビア攻撃に関する世論の見方が厳しいからだ。(アメリカにとって良いかどうか、は、アメリカの言うことを鵜呑みにする日本の外務省があるからだ)リビアカダフィ氏追放は、アラブの専門家の言うように、本来はアラブリーグに任せるべきだが、当面、という意味で米国が軍事力を行使している。
それでも米国内には「アメリカの外交政策が見えない」という批判が続いている。これは民主化を支援した結果、本当に米国の利益になるような新政権が、反政府側から出てくるのか、そこまでアメリカが戦後の新政府に関与できるのか、すべきか、など、ブッシュ政権イラクでの失敗を教訓として考えているからだ。
そして昨日おきたイスラエルでの爆弾事件も米国では親イスラエルのCNNが「テロ」とみているが、この真相・犯人はまだ分からない。もしも、万が一これが(国内にパレスチナ人も住む)イスラエルの策略であるとすれば、アメリカが手に負えない国が(旧エジプト政権、サウジアラビアに加えて)さらに増えることとなる。オバマ政権の外交政策は、アラブ民主化の波に際してさらに迷走する状況だ。
イスラエルはどう見ても窮鼠である。このことを米国、そして日本もしっかり報道すべきである。馬鹿の一つ覚えで、アメリカのやることは何でも賛成、ではそれこそ馬鹿にされるだけだ。
政府もメディアも、「考える力」が必要だ。