アメリカの報道を見て

平均的なアメリカ人は先週、日本の地震津波放射能汚染をCNNなどで見ていたが、今週からはリビア攻撃に半分話題が移って行った。しかし、エネルギー関係者は米国内の原発の安全性を見直し始めている。
良い例(悪い例)が、カリフォルニア州のダイアブロ・キャニオン原発で、1年半も冷却装置が故障していたのを放置していたそうだ。またNY州のインディアン・ポイント原発の半径80キロ以内にはNY市がすっぽり入る。この場合にはマンハッタン島の住民を避難させることは絶望的だと言われている。
米国人は、テプコ、福島第一原発の名前をすっかり覚えてしまった。そしてエネルギー関係者は、日本の状況と米国内の状況をすり合わせてみている。いずれに共通しているのは、老朽化した(福島原発は40年物だ)原発のさまざまな機器の劣化であり、これが事故拡大リスクを抱えているのは誰の目に見ても明らかだ。
また放射能汚染については、日本の当局がかなり厳し目の規制を設定しているので、規制値を3倍超えた、といっても本当に科学的に見てどうなのか、何が本当に危険なしきい値なのか、理解しにくい。一方、米国の報道ではこの点について、放射線専門家に「どのくらいの放射線量が本当に深刻か」という質問をしている。
国の規制は厳しいに越したことはない、という考えもあるが、科学的根拠は何なのか、何がどのようになれば人体に影響があるのか、日本でも客観的な報道が必要だ。
日本ではラドン温泉に行ったときに浴びる放射線量と比べると分かりやすいのかもしれないが。