日本政府の歴史認識の欠如

フランスのサルコジ大統領は、今回のアラブ民主化運動の余波を受けて、わずか3カ月で再び内閣改造を行った。
主な動きはミシェル・アリヨ・マリー外相の更迭である。彼女は12月にチュジニアで休暇を過ごした際にベンアリ氏の家族に近い人間のビジネスジェットを利用したり、彼女の両親が同氏に近い人間と不動産取引を行ったことが原因とされている。
一方、サルコジ氏よりも人気の高いフィヨン首相は12月にエジプトでクリスマス休暇を過ごしているが、フィヨン氏のポジションは変わらない。いずれにしても、MENA諸国と歴史的に密接な関係を持ってきたフランスの閣僚は、今後EU諸国以外に旅行する際には許可が求められることとなる。
日本の閣僚は、今回のアラブ民主化の動きを単なる石油資源へのアクセスの不安としか捉えていないこと自体が、大きな歴史認識の欠如なのである。
もっとも、小沢氏に辞表を要求できない党首では、与党をまとめることは困難だ。野党の内輪もめのような民主党分裂騒ぎは、彼らに政権交代させた国民の責任だが、日本が長年続いた自民党保守政権を倒した後の<民主党>暫定政府はそもそも分裂リスクを抱えていたという点からも、アラブの民主化政府が安定するまでには相当の時間がかかると思われる。