リビア制裁が国連安保理で決議されたが

様々な識者の意見では、リビアに対する必要な措置は以下の通りである。
1)アラブ軍の投入
2)アフリカからのリビア外国軍支援の航空機のリビアへの飛行禁止
3)民主化グループへの医療支援と食糧支援
これらは非常に具体的であり、EUと米国が湾岸諸国の民主化リーダーを入れた協議を始めるべきだ。
最近、日本でもやっとアラブ民主化運動に関する関心が高まっているし、新聞報道でもやや詳細な分析や解説が出始めた。日経では以下の記事が電子版に載った。
「急速な政治情勢の変化に米オバマ政権はほとんどついて行けなかった。エジプトでは受け皿をつくる前に政治権限を軍に移譲する選択しかなくなってしまった。」
オバマ政権は、昨年の夏に「アラブ諸国での民主化の動きが数カ月以内に表面化する可能性がある」という秘密レポートを入手していたと、ニューヨークタイムズが伝えている。そうだとすると、米政権は「ついてゆけない」のではなく、ブッシュ・ドクトリンによる中東政策をどのように変化させるか、戦略を構築できていなかったと捉えることができる。また「軍に移譲する選択しかない」とあるが、過去のエジプトでの軍の役割を考えると当然と言えるだろう。さらに最高評議会議長のタンタウイ氏はムバラク氏の旧友の軍人であることを考慮すべきである。
日経の記事の良い部分はイスラエルの孤立化に言及している点にある。そこでは「イスラエルが過度に孤立感を強めると、周辺国との軍事的な緊張が高まる展開になりかねない。その一方で、イスラエルはこれまで以上にパレスチナとの和平の推進や、周辺のアラブ諸国との融和を真剣に考えなければならない状況になりつつあるともいえる。」とある。
しかしパレスチナがガザとウエストバンクに分断され、後者にあるPalestine Authorityがイスラエルとの妥協の産物であることからすれば、「これまで以上にパレスチナとの和平の推進」ではなく「ガザとエジプトとの国境開放を通じたガザのパレスチナ人の自由の確保、ハマスとハタハの休戦やイスラエルハマスの休戦を通じてパレスチナ国内の統一をイスラエルが促進すること、イスラエルがウエストバンクでの植民地拡大をストップしてパレスチナ人の人種隔離政策(アパルトヘイト)を終息させること」さらに「イスラエルの強権政治もエジプトを見習って見直し、イスラエル国内の民主化を図ること」と述べるべきである。