空港を政治の道具にするな

ドイツのルフトハンザ航空は、羽田の国際でが早朝・深夜しか滑走路の利用が認められていないため「効率的な運航計画が組めない」とし、今後、日本政府に対し規制緩和を求めるという。
これは国交省が何十年前に成田空港を政治的に開港したことの尾を引いていることが原因としか思えない。
千葉県の景気浮揚のため、当時の政府と千葉県出身の大物議員が決めた開港だった。つまり迷惑施設を千葉県に建設する見返りに巨額の資金が流れたのである。青森県の核施設、鹿児島県の宇宙開発施設と同じ政治の論理だ。
通常、都市圏における国際空港の設置はまず都民の利便性が考慮される。欧米ではほとんどがそうだ。ところが日本では羽田の拡張は、千葉県という政治力学で決まり、その結果数十年にわたり海外と日本の国際旅客に大きな負担をかけた。
儲かったのは、遠隔地に旅客を運ぶ運輸会社(空港バス、京成電鉄JR東日本)と、地元の雇用になる建設業者と空港ビルである。しかし遠隔の不便な空港による日本全体の経済損失、機会損失は莫大だ。とくにCO2の話をすれば、空港が首都圏と離れていると、膨大な交通量が生まれ、渋滞を含めて莫大なCO2/環境コストがかかっている。
この期に及んでも民主党下の国交省は、今までの間違った自民党の利権政治を踏襲し、千葉県の建設会社に浸かった経済構造を温存して新たな時代の経済自立を阻害し、都民の不便を継続しようとしている。
民主党であることが羽田空港の国際化につながったとすれば、深夜早朝だけ認めるといった千葉県との裏取引は止めて、都民に利便性のある空港とすべきだ。
これらの議論を過去の経緯を含めて透明にして、一都六県の(間違った党利優先でない)民意を求めるべきである。羽田空港の真の24時間国際化は交通部門のCO2排出削減に大きく寄与するのである。