JALの終焉

日航が最近やっと手当大幅削減へ動き出し、乗務保障やタクシー代を引き下げるという。民間企業では考えられないほどの厚遇が今の今まで続いていた。さらに人件費を1068億円削減し10年度計画に入れるというが遅すぎないか。
最近数年ぶりにJALの国際便に乗った。案の定、欧州までの約12時間、機内のすべての映画サービスの機械が故障して最後まで何も見られなかった。こんなことは出発前の機材点検ですむはずだし、海外の空港からの出発ではなく成田からの出発だから点検は細部にわたって行われていたはずである。乗務員によれば機内コンピュータのオーバーヒートだそうだ。
航空会社の顧客サービスの原点は、食事サービスと映画サービスだ。後者が完全にストップするような点検ルーティンだとすると、コストカットにより3重の安全管理を備えているはずの運行点検もやはり「おろそか」になっている危険がある。
会社のコストカットが簡単な点検の不備に影響が出るとは、おそらくこのJALの機材に載っているパナソニックのMAGIC IIIというビデオシステムの担当者も予期できなかっただろう。
要するに問題は機械というハードウェアではなく、全体のシステム管理の問題である。
さらに驚くべきことに、欧州までの12時間のなかで数回、気流の関係で揺れが激しくなる時間帯があった。欧米の航空会社であれば、リスク管理ということですぐに「着席とシートベルト」のサインがでるが、小生の乗った飛行機はほとんどそのサインが出なかった。
とくにびっくりしたのは、離陸後でまだ上昇を続け機体が前方に傾いているのにこのサインが消えたことである。乗務員は作業を始めたが、何せ傾いたままなのでワゴンも押しながら(引きながら)キャビンに運んでいる。米国の航空会社なら決してこのような無知な判断を機長(副機長)はしない。トイレに立った乗客も体を支えながら歩行している。
アテンダントも素人同然のサービスだ。例外はアイルランドアテンダントで、彼女だけはすべて冷静に、しかもプロとしてなすべき業務をこなしていたが、日本人のアテンダントはほとんがにやにやしているだけで、食事サービスも(メニューは進歩したが)3流だった。
今までの親方日の丸で経営感覚が麻痺し、いきなりの合理化とコストカットで点検業務が完全に疎かになり、機内乗務員もアルバイト感覚では、万が一の事態が起きても対応は小学生以下だろう。緊急事態にしっかり対応できる乗務員の気力と教育があるとは思えない。
JALは一度、本当に解体して外資にしっかり立て直してもらうしかないだろう。このままではいつか大きな事故につながる危険がある。