クロマグロとクジラ

マグロは好きな日本人が多い。昔はマグロもクジラも日本人の栄養摂取においては貴重なたんぱく源であった。当然、当時は輸入牛肉も少なく、動物性たんぱく質といえば海洋資源に頼らざるを得なかった。
しかし現代の日本ほど飽食の国はない。欧米に住んでも日本ほど食材が豊かな国はないと感じる。海産物は商社が世界中からさまざまな製品を送り届け、畜産物も同様だ。しかもレストランや食料品から出される食品廃棄物は「もったいない」という概念を超えている。
たしかにシーシェパードの暴力行為には反対すべきだ。一方、調査捕鯨といっても平気で魚屋にはクジラ肉が並んでいる。これは虚偽でありごまかしだ。
しかし、ここまで飽食の国に住む日本人にとって本当にクジラ肉を食する必要があるのだろうか?おそらく答えはNOである。
最近、さらに感じることは、金を出せば何でも買える、何でも獲れるという発想は時代錯誤であるということだ。マグロも食べたい、クジラも食べたい、という気持ちとそこにおける理性とのバランスを欠いている。だからクロマグロにしろ捕鯨にしろ、他国との交渉に際する理念がなく、交渉の落としどころが見つけられない。
飽食、過剰摂取、栄養過多の日本人。テレビでは食の番組が飽食を煽り、一方でダイエット・サプリを売りつける。そして肥満で骨に体重がかかりすぎておきる足腰の痛みにはコンドロイチンのサプリメント。これはどうみても狂った循環としか言えない。回りを見回してみよう。都内の電車に座っている人々の2割は肥満と言える。
食の理性、食の文化、適正な栄養摂取量、適切な資源の捕獲量、そしてごまかしの不要な捕鯨禁止で、日本人の健康は改善するはずだし、日本の正しい文化の輸出にも貢献できる。医療保険制度の赤字も減るだろう。