増税や国民負担の前にすべきこと

増税ありきの野田政権が船出した。
しかし、増税の前にすべきことがたくさんある、と世論が気付いた点もあるし、気づいていない点もある。
最近の話題は、米国債の償還と省庁の調達品の競り下がり(オークション調達)だ。前者では毎年の償還金を米国債に再投資しなければ国費の糧にできる。それが負債を伴う投資だったとしても、負債を減らすことができる。後者はすべての省庁で実施すべきだが、調達先企業に役人の先輩OBが天下っているためにできないと言う。この問題には、天下り根絶と言う根本的な解決が不可欠である。
天下り=調達先との癒着」の問題は役人の世界だけではない。電力会社は役人の天下り先だが、同時に電力会社から多くのOBがメーカー企業などに天下っており、メーカーという電力会社の調達先への便宜の不当供与の温床となっていて、調達コストの削減がまだまだ可能であることを示している。
この電力会社の問題では、原発事故の被災者だけではなく近隣の被災国についての東電の賠償責任が問われてくる。その際に国民の税金負担とするのではなく、今から東電の発電所と支店・支社の売却によって、少しでも国民負担を軽減する措置を取るべきだ。
発送電分離に反対している東電は、今後発生する近隣諸国への賠償額を甘く見積もっている。東電は自らの責任で料金負担者と国民への負担を減らすよう、率先して発電部門と小売部門の資産売却を進めるべきだ。送電部門が発電部門と切り離されれば、発電市場が卸市場となり安定供給にも資するし、電力の供給コストの低下につながる。送電部門が独立して公平・中立な送電網ができれば、再生可能エネルギーの利用拡大にもつながる。これは欧州の制度改革が実証している。