円高差益はどこへ行ったのか

連日、円が高値を更新している。それに対して野田財務相が介入めいた発言をしている。
原発の停止と電力コスト高を理由に国内産業の空洞化が「経団連を中心に」叫ばれており、原発停止か空洞化かという脅しがまかり通っていることをぼやき庵では以前に説明した。最近ではそれに円高が空洞化を加速する、という脅しにもなっている。
しかし、以前の円高であれば見られた「円高還元セール」という広告が最近は一つも見当たらないし、円高メリットをうたう企業がいるはずなのに、全く見当たらない。
これは大変不思議だ。大手メディアも一言も触れていない。
食品にしても輸入大国の我が国であれば、輸入食材がかなり割安に調達できているはずだし、さらに原料を大幅に輸入に頼っている産業界のコストダウンは著しいはずだ。
しかし、儲かっているときはダンマリ、という戦法にも、普通は「円高利益がある」と考えれば分かるはずだ。さらに電力会社の輸入している燃料費にも相当の円高差益があるはずなのに、エネ庁は何も見ていないようだ。ブラックボックスの燃料費調整制度にだまされた家庭の消費者だけが損をしている。
これに際して消費者団体も経産省の傘下で何も言えないのだろうか。
この国には「やらせメール」がなくても、世論がしっかりと産業界に誘導されている。