日本の技術の驕り

パナソニック三洋電機の洗濯機、冷蔵庫の白物家電事業を中国家電大手ハイアールに売却する。パナは既に金融子会社も、携帯電話、半導体事業も売却していると日経が伝えている。
この記事からいくつかのポイントが見えてくる。
まず、おそらく経産省が主体となった三洋電機のパナによる買収と解体策が正しかったのか、と言う点だ。三洋はパナと一旦くっつかなければ、このような資産整理ができなかったのか。三洋は自らの手でこのような企業再編ができない理由は何だったのか。
次にこのやり方は外資の典型的なM&A後の資産売却であり、パナ以外のどの電機メーカーでもできたはずだ。さらに考えると、もしも外資三洋電機をこのように買収した後で資産売却したら、日本政府や従業員は何と言っただろうか。外資をまるで資本主義の悪の権化のように非難していなかっただろうか。
第3にパナがこの“悪役”を演じるにはふさわしい相手だったのだろうか。逆に言えば、パナが目利きをして三洋の資産売却を実施したが、パナにその能力があったのだろうか。パナの従業員も経営陣も高飛車だが、徐々にそのブランド力には陰りが出てきている。唯我独尊では事業は長続きしない。もしもパナが傾くようであれば、三洋を身受けさせた経産省の失策だ。

この記事で日経は「半導体、薄型テレビ、原子力発電。日本の電機大手は収益源を次々に失いつつある。1つ間違えば、彼らもまた、三洋電機と同じ道をたどることになりかねない。」と締めくくっている。
パナも三洋も製品はグローバル化したが経営をグローバル化するのが遅かった。とくにパナは家電製品の通信ネットワーク化で独自路線を歩み、通信プロトコルのオープン化には反対している。パナ1社が世界標準になれるという驕りがある。
日本の技術の驕りが原発と同じように神話となる日は近い。