この時期になぜ東電OL事件

原発事故で世間から批判を受けた東電。そして九電のやらせメールや関電の暴言で電力会社の体質が問われている。そして経産省もインサイダー事件や古賀氏の問題で権威喪失だ。しかしこれは3月11日を契機に明るみに出た話で、去年の今頃であれば東電や電力会社への批判は「反体制の危険思想」と見なされ(命も?)抹殺されていたかもしれない。つまり電力会社は役所の人事権まで握るほど絶大な権力をもっていた。さらに警察や報道機関への圧力は日常茶飯だったとも考えられる。
そして1997年時点ではその権力は想像を絶するものだったと考えられる。そして東電OL事件が発生した。歓楽街の東京都渋谷区円山町のアパートで、当時としては超エリートの東京電力初の女性総合職が殺害された。その後の捜査で、退勤後は円山町付近の路上で客を勧誘し売春を行っていたと報道された。
今、この事件が再審理される、ということの意味は(詮索の域を出ないが)いろいろと想像される。遂に東電の権威が失墜したから明るみに出されるのかもしれない。検察当局はそのあたりの風潮はよく感じている。
かなり大胆でフィクション的だが、可能性としては、「この女性が東電初の女性総合職という点で周りからかなり羨望とやっかみを買っていた」かもしれない。とすると、この「売春行為」という「その後の調査」は信憑性があるのか。警察や報道機関が東電から言わされたことはないのか。東電は男の巣である。女性総合職など疎ましい存在であるからだ。
次の可能性は、彼女が実際にこのような行動をとっていたとした場合、そして東電がこの素行を「けしからん」と思った時、どうしたか、である。推理小説であれば、第3者を犯人に仕立てて殺害したかもしれない。この濡れ衣役には外国人労働者は最も適している。というか、外国人労働者に超エリート社員が殺害された、というのは「あまりにも出来過ぎ」である。この推理小説を延長すれば、殺害の黒幕は東電があった、とも書けそうである。
今の段階で東電OL事件を再審理する、ということは、検察側が東電の圧力がない、という判断をしたから、と考えるのは推理小説の読み過ぎだろうか。