ストレステストについて

菅氏がストレステストを実施してから原発の再起動を決めると言っている。
またまた経団連の米倉氏が原発擁護でストレステストの導入の順序に文句を言っている。
これらの議論の元は、福島原発事故を教訓にしたEU(なぜか日本ではない)のストレステストの実施であり、その概要をまとめてみた。
*****
EUのストレステストの定義は、「福島で起きた事象に照らして原子力発電所の安全マージンの再評価をターゲットとすること」である。
再評価の内容は、技術的な見地から一連の極限の状況に面した原子力発電所の対応の評価と、事故対応や安全機能の連続的な損傷や深刻な事故対応など一連の事象への予防策と対応策の評価、となっている。
EUではストレステストをENSREGという欧州原子力安全規制グループが統括して実施するが、各国の政府や原子力事業者から独立した主体によるテストである点、またENSERGが入手する情報と発表する情報の透明性が重要である。
技術的な範囲としては、a)初期事象として地震と洪水、b)それによる安全機能の損失として発電所全体の停電を含む電源の喪失と冷却装置の損失、c)激災の管理項目として主たる冷却機能の損失への対応、燃料格納プールの冷却装置の損失への対応、原子炉格納容器全体の喪失への対応、となる。
*****
日本では日本バージョンを作ると言うが、電事連経産省などの圧力でねじ曲がらないように我々(大手メディアは当てにならない)が見張るべきだ。
さらに誰が実施するのか、当然、骨抜き、またはlame duckの保安院は不安院でありダメだから、新たなストレステスト実施部隊を組成しなければならない。
しかし既存の原発メーカーはすべて電力会社の色がついているので、思い切ってEUから専門家を派遣してもらい、外人部隊にやってもらうことが重要である。我が国では役所が産業界を守ることはできても、誰も国民生活を守ろうとしないのが残念だ。