九電王国は微動だにしない

九州電力玄海原発の再稼働をめぐる「やらせメール」問題で、再稼働への住民の理解が深まるよう手を打つように、との趣旨で部下に指示したのは、当時原子力担当副社長だった段上守氏である、と時事通信が伝えている。さらに常務であった諸岡雅俊氏の関与もあったと伝えられているが、九州電力を擁護する一般紙は個人名の公表は一切控えている。
同社の真部利応社長が記者会見した内容をみたが、真部氏の進退問題を聞かれた時に彼は松尾会長の「お考え」を聞かなければならない、と話していた。松尾会長こそ九電王国の王さまでだと分かったが、真部社長が非常識な「やらせメール」の謝罪会見の場で、身内の会長について「お考え」と社外に話すのは、社会常識にまったく欠ける感覚と社内優先のロジックをもつ電力会社の姿勢を明確に表していた。
一方、松尾会長は八日夜、元副社長の発言について「一種の愛社精神や、原子力事業がうまく運ぶようにと思い、軽い気持ちで下に言ったのではないか」と記者団に説明したらしい。これは完全に常識外れだし、経産相でも頭にくるだろう。さらに「(再開を容認する)メールを送ってくれとは全く言っていない」とし、元副社長はやらせには関与していないとの勝手な見方を示していたそうだ。
この松尾氏と真部氏、完全に九州王国の王族であり、記者会見での横柄なものの言い方から、新聞記者は単なる平民か貧民と見下している様がよく分かる。
東電が神様として君臨し、天皇陛下よりも被災者に対して頭が高かったが、九州電力は王様であり、「やらせメール」は愛社精神と軽い気持ちで済ませるのが、九電流なのだ。さらに西日本新聞は九州王国の皇室ニュースだけしか取り上げていないから、「やらせメール」は歯牙にもかけないのだろう。保守王国にある九州電力には、東日本で起きたことは対岸の火事くらいにしか思わないのだろうか。