菅氏の価値は

アンソニー・ホプキンスの演じるリチャード・ニクソンのDVDを観た。
印象に残るのは、ニクソンリンカーン銅像の前で19歳に女子学生に、「結局、システムに流される大統領には力がないpowerlessのね。」と言われ、「私が25年間政治家をやってきて分かったことが、なぜ19歳に分かるのか。」と嘆いていた(彼女が正しいという意味で)シーンだ。
阿久根市の竹原氏も同じようなことを言っていた。つまり政官業が一体構造となり動いているシステムを止めるには、相当な力と言うか犠牲を必要とすることなのだろう。それは金と権力と票が回っているからである。
福島原発の対応で後手後手に回り、さんざん酷評されている菅氏だ。ぼやき庵は、「そうは言っても2年生政権だし、政権交代の起きた後のエジプトでもまともな政権ができるまでは数年かかる。」と考える。もしも自民党政権のときに福島原発事故が起きていれば、どのように情報管制が敷かれていたか分からないし、事故対応も(さんざんひどいと言われている)民主党政権よりもまともだと断言することもできない。
ぼやき庵の評価するのは、浜岡原発の停止を首相の独断で決めたことだ。誰かに相談していたら決してできなかったはずだ。さらに昨日の朝日新聞の言うように菅氏の価値は「電力権益構造を壊す」行動を取っていることにある。これには政官業が一体となって反対することは目に見えているが、「ちゃぶ台をひっくり返す」仕業は菅氏にしかできないだろう。
それこそ民主党は一丸となって(電力労組やメーカー労組を代表して)電力権益構造を守ろうとしている。民主党の菅降ろしの面子をみると、まさしく業界の利益代表が映っている。
菅氏の価値は、壊し屋にある。このチャンスに日本の既得権益構造を壊さなければ、新しい日本は造れない。スクラップ&ビルドのために菅氏は必要である。