原発の代替は天然ガスで良いが。。

土曜日の田勢氏の報道番組で、脱原発天然ガスで賄うというストーリーが載っていた。これは正しいが、きちんと解説しないと誤解を招くだろう。
まず原発亡きあとにはベース電源が不足する。これを補うのは天然ガス火力発電と石炭火力発電である。しかし環境省の脱石炭思考で石炭火力のオプションは死んでいる。CO2地中化技術も進展させることを忘れている。石炭火力をどうするか、議論がない。

天然ガス火力は正しいが、(番組でも一部触れたが)LNGでの輸入では原油価格とLNG価格のリンクが基本となっているので割高なのだ。世界では天然ガス価格が石油価格からかい離して低下しているのに、高い原油とリンクして買い続ける日本の電力会社とガス会社は(価格をすべて消費者に転嫁するから)世界の笑い者である。この価格転嫁のメカニズムは不透明で電力・ガス会社に有利なだけだ。こにもメスを入れるべきである。
さらに原発事故で丸儲けしているガス会社をインタビューすると図に乗ってしまう。地域独占と価格固定のガス会社を電力とおなじように構造分離して、競争メカニズムを導入しなければ、経産省の言うように「燃料費が高騰する」のである。経産省構造改革には一切触れずに「経済が空洞化する」と病気のように言っている。
ガスを需要家で発電することで、大型ガス火力で逃している熱回収が可能となり、全体のエネルギー利用効率が高まる。そこでの問題はガス価格が日本では欧米より2〜3倍も高いことだ。これを報道番組なら示してほしい。
さらにガスの問題は、(番組で言う災害に強いガス、は偽物で)災害に弱い点である。とくにガス管が被災した場合には、送電・配電に比べて非常に復旧に時間がかかるのである。さらに破損したガス管には慎重な安全点検が求められる。
確か新潟中越地震のときには、ガスの復旧が遅れたはずだし、今回も仙台ガスの復旧で全国のガス会社から大勢の応援が行っている。しかし復旧は電気にくらべてかなり遅い。
報道番組であるならば、誤解を得る情報には正確な内容が必要だ。それに現行の電力とガスの両方の制度に問題があることを認識して伝えなければならない。