環境アセス法の見直しを

環境省は総出力が1万キロワット以上の風力発電所を環境影響評価(環境アセス)法の対象とすることを決めた。
日本では原子力発電所の停止が相次ぎ、今後は電力供給を一時的に天然ガス火力に依存せざるを得ない状況にある。しかし温暖化ガス排出防止の目標達成には再生可能エネルギーの利用拡大を図らねばならない。
そこで必要なのは風力発電である。日本でさかんに議論されている太陽光発電は小規模で、それを集合aggregateさせて大型発電所の代替とするには非効率・不経済である。
だから欧米では風力発電再生可能エネルギーの柱になっているが、今回の環境アセス法はこの風力発電の開発を遅延・阻害するものだ。本来、環境省経産省と異なる立場で再生可能エネルギーの利用拡大を促進しなければならないが、この法案は本末転倒である。おそらく電力会社の利益誘導があるのだろう。
電力会社はこの期に及んで、原発と自社の電源のみを供給することに躍起であり、既得権益の維持に必死である。だから発送電分離を拒否し、垂直統合型による安定供給阻害を固持し、北朝鮮体制と同じ社会主義計画経済を死守しようとしている。
前述のように、日本は広域送電網を整備して、流通網の独立とオープンアクセスによる電力の供給安定を図るべきなのに、環境アセス法は電力会社のロジックに従い、風力発電を立地と開発を遅らせるだけである。
大出力化に伴う騒音や低周波音問題などを風力発電所の問題と言うのであれば、風力発電所環境負荷原子力発電所や火力発電所の環境リスクや自然破壊、人命リスクと比べるべきである。
電力会社の利権にしたがった、このように歪曲された議論を、環境省は推し進めるほど脆弱な行政府であるのならば、環境省のあり方と目的そのものを見直すべきであり、電力会社との接触も一切、禁止すべきであろう。
環境アセス法の見直しと環境省のあり方の議論を早急に行うべきだ。