経産省のゆがんだ姿勢を示す日経の記事

経済産業省所管の(財)日本エネルギー経済研究所は、原子力発電所が再稼働せず、その分の電力をすべて火力発電で補った場合、電気料金が標準家庭で1カ月あたり1000円程度(約18%)上がるという試算をまとめた、と「日経」が伝えている。
経産省・エネ件はこれをもって、「原発は安いから、止めると化石燃料に代替して高いから、原発は維持せよ」という論調を、大本営発表に従う日経に書かせたのだろう。
しかし、これは単に燃料費を化石燃料に置き換えたもので、将来予測される原発の処理処分費を含んだコストと比較していない。さらに今回の福島原発並みの事故が起これば、東電で4兆円の賠償金がかかったとして、それを世帯数に直せば、そして10年で償却するとすれば月間の需要家の負担は1300円ほどになる。
本当ならば「1000円程度上がる」のではなく、「計り知れないリスクを最悪1000円程度の負担で削減できる」とすべきだろう。
福島原発事故はドイツのエネルギー政策に非常に大きな影響を与えた。イタリアでは国民投票原発建設を再否定するだろう。そしてフランスでさえも、原発反対派は45%まで上昇していると環境エネルギー省は述べている。
日本も孫氏が言うように国民投票を行うべきだろう。そして経産省のような業界擁護団体の計算ではなく、適切な独立したエネルギー規制当局を作り、原発の本当のリスク(短期と長期)を正しく計算した日本のエネルギー政策を検討すべきである。
自国でおきた放射能事故をここまで甘く考える役所とメディアを国民は看過してはならない。