経済システムからはみ出した原子力事業の実態

原発事故の余波は関西経済だけでなく、日本経済そして欧州経済にも影響を与え始めた。
原発を信じてきた経団連の米倉氏は、これまで甚大なバックラッシュが来ていることを理解しているのだろうか。
原発事故は東電1社、日本1国だけで賠償できるリスクの範囲を超えていたことは、老人には理解できないだろう。フランスEDFでも原発の解体と放射性廃棄物処理(処分地はまだない)の引当金はあるが(日本並み)、事故の補償金は保険会社頼みだったので全く引当ができていない。
原発の事故リスクはどの保険会社も引き受けられない、引き受ける範囲を超えている、ということは経済原則の枠からはずれている事を示す。つまり経済国家にとって経済システムで対応できないリスクを抱えていることになる。
さらに前述したが、福島なり原発を立地した自治体は、リスクと引き換えに多額の交付金をもらっていたが、これはオプションを売ってプレミアムを収受した行為であるがそのオプション・バリュエーションを全く行う能力がなかった、ということになる。
民間の保険会社が引き受けられないリスク、そしてそれをバリュエーションできない自治体(と政府、電力会社)。これを経済単位である住民が引き受けたことは、大きな矛盾であることを誰かが指摘すべきである。