発電と送電の分離論

菅首相が送電と発電の分離を議論するよう昨日求めた。
これを電子版で記事にしたのは、産経、朝日、読売だがさすがに電力業界寄りの記事しか出さない日経は申し訳程度の内容だ。
この記事には「おそらく電力会社が猛反対」とあるし、電力側の言い分は「電力供給が不安定になる」とわけのわからない発言だ。
発電と送電の分離は欧州ではEU指令で加盟国すべてが実施している。米国でも50州のうち、送電網の所有権は電力会社でも運営委託しているのが大半である。そして欧米ともに、発電と送電の分離と広域流通によって地域的な電力不足を解消しているのに、日本の電力会社は時代錯誤の論法で既得権益にしがみついている。
菅首相はさらに原子力安全・保安院経産省からの分離独立の必要性を訴えたが、これは原子力だけの問題ではない。エネルギー行政全体をチェックする規制委員会を経産省から独立して設置すべきなのだ。
ぼやき庵では以前かなり前から、エネルギー行政の産業育成行政からの分離と、エネルギー行政の中での規制委員会の分離独立の必要性を述べてきた。前述のように、米国の各州にはそれぞれ規制委員会PUCがエネルギー省とは独立して存在する。さらに連邦レベルでも独立したエネルギー規制委員会FERCが存在する。FERCの内規は厳しく、業界人や政治家との接見や贈答を一切禁止している。
日本の電力業界と行政の癒着が原子力の災禍を生んだことは間違いが無い。これをエネルギー行政の在り方全般として反省し、一切の癒着を排除することが重要である。