経済産業省の問題をさらすべき

今回の原発事故の基本的な問題は経済産業省の構造にある。
産業育成を行うべき経産省に、外局(下部組織)として資源エネルギー庁原子力安全・保安院があることは大きな問題なのだ。人的にも組織的にも、また命令系統、そして情報もすべてつながっている。
本来は、経産省から独立した資源エネルギー省が必要である。さらに全体のエネルギー行政を行うエネ庁の中に、本来チェックを行うべき規制当局が隠れている。欧米のようにエネルギー規制委員会としてエネルギー行政をチェックする独立組織が無い。エネルギー行政全般において、コーチと審判が同じ組織に属している。
また原子力安全・保安院経産省の下部組織では原子力行政のチェックができない。安全管理が致命的な原子力行政のコーチと審判が同じ組織、同じ人事、同じ情報によって動くのは先進国の中では異例だ。
以前、ぼやき庵でも書いたが、英国、ドイツ、フランス、イタリアでも、エネルギー行政のチェック機関は完全に独立しているし、原子力行政についても当たり前のように独立している。
前述のように、産業育成の省庁と、エネルギー利用の効率化・安定化を促進する省庁の目的は別とすべきなのである。
すべてが経産省の役人が産業育成、エネルギー行政、原子力行政を掌握し、それぞれのチェック機構も内包させる仕組みとエゴ体質が、今回の問題の本質にある。
経済産業省を分解して、それぞれの行政機能を分離し、さらにそれぞれの行政チェック機構を分離設置しなければ、この国の安全と公平性は守れない。