スマートメーターができること

スマートメーターとは、家庭についている電気メーターを進化させて電子的に消費電力量を測ったり、メモリーや通信機能を入れたりして、電力会社の検針員が目視しなくても遠隔で検針できる仕組みである。
スマートメーター導入の是非の議論はさまざまであり、メーターまでの通信網を電力会社が自前で引くのか、あるいは既存のFTTHを使い、ブロードバンド・ルーター経由でメーターの検針値を取りにゆけばよい、という考え方もある。
いずれにしても、遠隔で検針でき、遠隔で電力供給の停止や停止解除(引っ越しの際のスイッチオンオフ)を行い、さらに(東電には付いているが関電には付いていない)SB(サービスブレーカーと呼ばれる契約アンペアに応じて、使いすぎると”落ちる”レバー)の契約アンペアを遠隔で操作できる。これらのスマートメーターは2006年ころから欧米の一部の電力会社で検討され、2008年ころから設置が始まっており、今年中に設置が完了してさまざまな新サービスが始まる海外の電力会社も現れてくる。
このスマートメーターの導入に関しては、東電は2年前までは「検針員の仕事が無くなる」という理由で無視してきた。さらにさまざまな消費データを消費者が見ることについて、「不要な情報は消費者に出さない」方針で、つい最近までも国内のスマートメーターのメーカーには、データポートを装備しない形式でのメーター製造が行われてきた。つまり電力会社の「情報隠ぺい」思想が、スマートメーターの導入を阻害してきたのである。(欧米ではメーター・データの所有権は家主だが、日本では電力会社だと主張している)
もしもこのスマートメーターが導入されていれば、今回の計画停電(本当は”輪番停電”という)も、不公平感なく実施できただろうし、さらに信号機を止めて事故が起きる心配もなくなっていたのである。
その機能を使えば、「契約アンペア」を遠隔で落とせして、例えば電力不足の場合には輪番の地域すべての家庭を例えば10Aに絞ることで、停電のある地域では全く電気が使えず、停電の無い地域では湯水のように電気を使う、という非合理性を排除できる。10Aに絞られれば、その時間帯はそれなりに不要な電気製品はオフにするだろうし、冷蔵庫のモノは腐らないし、さらに完全ストップの後の通電復帰に生じる漏電事故も防止できる。(米国の電力会社でも、1日前の”輪番停電通知”を実施しているから、予備行動は取れるはずだ。)
またスマートメーターを信号機にも設置して、停止スイッチを外して設定すれば、信号機が停電でとまることもなくなる。
要するに、現在はスマートメーターが無い(50年前と同じ円盤型メーターだ)から、電力の供給削減を”根元”の変電設備からの回路ごとに遮断する、という太古の方式に頼っているのであり、当然、信号機もすべて回路ごとに落とされてしまう。
これをスマートメーターへの「通信」により近代化し、各エンドユーザーごとにSBの設定変更(=消費量の上限値の低下)で供給量を削減することで、ゼロか1という供給削減ではなく、合理的で公平な輪番停電が可能となる。
輪番停電に際し、今まで電力会社に欠けていたグラスノチ(情報公開)と時代錯誤のシステムが露呈している。