アルジャジーラとCNNの報道力

1月から続くアラブの民主化運動は、チュニジア、エジプトと拡大し、国連の1973決議案を基に現在西側諸国はリビアの民衆を守るという大義カダフィー陣営を攻撃している。
この民衆蜂起はSNS革命と呼ばれるように、今まで圧政に耐えてきた国民が民主化を求めて運動を起こした姿が、他の同様の圧政に苦しむ民衆の行動を促したと言われている。
SNSではFacebookが主流だが、一方、カタールに本拠をおくアルジャジーラも大きな貢献を果たした。米国が2003年にイラク侵攻した際、西側はCNNの報道の早さと内容を称賛したし、米国国務省国防省がCNNを見ながら情報を収集したと伝えられた。しかしながらCNNの放送内容は西側の視点でありすぎ点が問題となり、アルジャジーラがアラブ寄りではあるものの、戦争被害者であるアラブ民衆の映像を報道した点は高く評価された。
そして今回のアラブ民主化では、CNNを抜いてアルジャジーラチュニジア、エジプト、リビアをはじめ、それ以外で民主化の起きているバハレーン、イエメン、シリア、さらにガザに対するイスラエルの攻撃などを伝えており、アルジャジーラの報道力が高く評価されている。
そして特筆すべきが、今回のOdyssey Dawn(全く意味のない作戦名と米国では大変不評だが)では、UAE、トルコに加えてカタールも西側に参戦してリビアの飛行禁止区域の設定と実施とともに(国連の決議にあるように)リビア人の命を守るという大義において、カタールのミグ戦闘機が出撃していることである。
カタールは、特段に情報力と軍事力を使って 、混迷するアラブ諸国における大きな地位を確立しようとしている。今年の中東政治におけるカタールとトルコのリダーシップは重要な力点となるだろう。
さらにアラブ民主化報道でアルジャジーラに後塵を拝したCNNは、日本の地震津波放射能汚染の問題で大きな報道体制を敷いている。前述のようにCNNはAC360という人気報道番組のメインキャスターである、Anderson Cooper氏を先々週福島に派遣して、被災地から数日間にわたり実況中継を行った。そして米国に戻った後も彼の日本に関する報道は続き、彼の日本での経験を生かした厚みのある解説が行われている。
アルジャジーラもCNNにしても、自ら考え、事実を報道しようとする姿勢と熱意が(そして報道に際する分別が)視聴者の心をひきつけるのであり、日本のように政府や電力会社の言うことをうのみにして、先を考えない報道は報道と言えない。
日本で起きていることについては、CNNやWall Street Journal、英independenceを見た方が客観的な事実がわかるようだ。日本のメディアは、日本人がどのように事実を(曲げて)知らされているのか、を理解するためにのみ読む必要があるのかもしれない。