人間力と組織

人間が組織を作る。そして、トップの人間力が弱いと組織が崩壊する。
最初の例が、東電の清水社長が震災の2日後に倒れて、東電の本社内で横になりながら指示をしたということだ。ここでの問題は、清水氏の体調ではなく組織として副社長は何をしていたのか、という点と、社長に代わって権限を与えられる人格が東電の複数の副社長には存在しないことだ。週刊文春がさんざん叩いているのであまりこれ以上の批判はしたくないが、人間と組織と言う点で、人間力のない人材が上層部にいる組織は風前の灯だろう。
次の例が、東電の営業部が2月と同じ請求書を3月に請求することを、顧客(料金負担者)に伝えずに実施したことだ。これは営業部の中の家庭用料金担当の営業業務というグループが独自に判断したのか、あるいは部長が錯乱しており、消費者目線での発想を完全に失念したかであろう。日ごろから電力会社が馬鹿の一つ覚えに「お客さま(彼らはひらがなの“さま”を意図的に使っている)」というセリフが全くの虚言で会ったことが分かるほど、ここでも東京電力の組織の中での人間力が欠如し、消費者目線からかけ離れていることがわかる。組織の重大なミスを引き起こすのが人間であり、日ごろの消費者視線と人間力を育てなかった組織の欠陥が表面化した事例だ。
3番目の例が、自民党の谷垣総裁が危機政権の閣僚入りを拒否したことだ。彼は土曜のテレビ番組に出演しても、淡々と自民党の組織の論理を繰り返した。彼の表情からは全く被災者の心情や国家の危機感が読み取れない。彼は国に背を向けて党利党略に走った、と取られても仕方が無いだろうし、そんな自民党の真意を国民ははっきりと見て取っただろう。谷垣氏には根本的に危機管理でのリーダーの資質がなく、本人もそれを分かっていたのかもしれないが。彼には根本的な人間力がなく、そういった彼しか総裁に選出できなかった自民党議員の絶望的な質の低さがうかがえる。(もっとも上記のような東電の体質を作り続けたのは自民党である。)