東電の計画停電の正当性は

民主党の岡田幹事長が政府震災対策合同会議で、東京電力が実施している計画停電について、「電力需要のピークがあるのに、なぜ各時間で区切って計画停電をするのか。ピーク時だけ大口需要を規制することも有効ではないか」と述べた。
現在、家庭の電力料金は自由化されておらず電力会社が地域独占、料金認可制度のもとに供給責任を負っている。そして各家庭はキロワット時当たり平均25~28円という割高な電気料金を支払っている。
一方、2005年の第3次電力自由化でコンビニなどの商業施設までは自由化され、電力会社以外も例えば県庁やマンションなどに電力供給できるし、その料金は競争下に置かれている。
そのため電力会社は既存の顧客を奪われないように値引き競争を行っている。そしてこれら大口ユーザーの電気料金は(同じ単位で)12~15円と言われている。
この大口ユーザーに対する割引を行う方式として、電力会社は「需給調整契約」を大口ユーザーに適用しており、需給がひっ迫した時やピーク時は電力供給を削減できる契約となっている。金融用語でいえばこの「需給調整契約」はオプションであり、ユーザーは供給削減オプションを電力会社に売り、ユーザーはそのオプション料(プレミアム)をもらい、割引いた安い料金で電気を調達している。
つまり電力会社は需給調整契約を適用することで大口ユーザー向けの価格を引き下げ、競争に勝ってきているが、この需給調整契約による供給削減を過去は一度も発動したことがない。つまり、この需給調整契約大口ユーザーに競争で勝つための方便であったのだ。それに対して、一般家庭の消費者にはそのようなチョイスはなく、大口の約2倍の高い電気料金が約款料金として決められ(これは国の認可料金である)、電力供給は大口ユーザーよりも守られるはずであった。
しかし今回の計画停電では、需給調整契約のある(つまり、電気料金を割り引いてもらっている代わりに供給削減されてもよいという)大口ユーザーに対してはそれを実施せずに、高い電気料金を国の制度で(非自由化対象である)家庭の消費者に対して、同じように供給削減するのはおかしい、あるいは不当行為ではないか。
もしも、電力会社のこの不当行為で家庭ユーザー(海外では約款料金で縛られている料金を支払うユーザーのことをrate payer=料金負担者と呼ぶ)が被った迷惑や経済損失を。電力会社に対して集団訴訟した場合どのようになるだろうか。
海外からみると日本人は不当な待遇を受けていても、仕方がないと諦めてアクセプトしてしまう国民性があると言われている。
今回の計画停電の正当性または不当性を、国の制度に照らして判断すべきである。