口のきけない日本人

福島原発4号機をめぐり日米で見解が食い違う事態となっている、と産経新聞が伝えている。
米側はプールに亀裂が入り冷却水が漏れ、打つ手のない状況という。一方東京電力は危険性の理由でプールの水位や温度を確認できないでいるが、(なぜか)防衛相は4号機の表面温度が100度以下であるとして、残っている水により冷却の効果があらわれていると報じている。
ここで不思議なのは、東電が分からないと言っているのに、防衛相が100度以下だとすることが、なぜ矛盾にならないのか、産経新聞も頭を働かせていない点だ。こういった矛盾は数日前から米メディアでは散々指摘されている。
米原子力規制委員会は、4号機のプールの壁に亀裂か穴が開いている根拠として、事故発生時に同原発にいた米国人から得た情報を挙げている。この米国人はおそらく原子力関係者で既に帰国し、一昨日米国のテレビ(CNNだと記憶している)に出て発言していた。
さらに不思議なのは、こういった米国人の発言に対して、数十人も内部に居た東電の社員からは何も情報が出ていない点だ。東電の原子力担当者には緘口令が敷かれているのか、あるいは黙っていることが自分の身を守るという、電力会社特有の密室体質が蔓延しているからなのか、あるいは精神的に思い出したくない状況なのか。
見解が食い違うという状況があるのであれば、そしてそれが日本の国土に対する重大な放射能汚染をひき起こすかどうかの判断とされる状況であるとすれば、東電と政府はこの点を直ちに精査し、4号機内部にいた人間から情報を取って、米側が間違いであるならばその根拠を列挙すべきではないか。
このような重大事に際し、傍観者のように「見解が食い違う」だけで済む問題ではない。