産経新聞と自衛隊は平和ボケだ

産経新聞が、「自衛隊、首相の過度の期待に困惑」という見出しの記事を載せている。
政府が福島第一原発で、放水に続き建屋周辺でのがれきの除去にも自衛隊の投入を検討していることに自衛隊幹部が「最後になって押しつけてくる首相の常套手段」と反発が出ているという。
さらに産経は、「放水よりも隊員が被曝(ひばく)する危険性は格段に増す」「東電からも十分な情報提供がなかった」「すべての有効な対処策を講じているとは思えない」など、防衛省幹部からの愚痴をまともに載せている。
さらに「防衛省は検討していた輸送計画の見直しを迫られた。あげく農水省が要請したカップ麺が連絡もないまま基地に殺到、現場は混乱を極めている。」と述べているし、「放水でさえ、国民の想像以上に危険な環境下で命がけで行っていることを理解してほしい、という自衛隊幹部の言葉は重い。」など、信じられない意見を半沢尚久氏が述べている。
これは産経新聞の平和ボケではないか。本来であれば、未曽有の危機に際して自衛隊の危機管理能力しか政府として期待できないのが当たり前だ。しかも自衛隊はシビリアンではなく「命をかけて国を守る職業軍人」である。そうでなければ、自衛隊に入隊する資格も幹部になる資格もない。
自衛隊の隊員が危険に見舞われるリスクを減らせ、というのなら理解できる。そのためには、官邸が主導して危機管理体制を敷き、東電の情報発信が粗末であればそれを管掌し、農水省のやり方が拙ければそれを刷新すべきだ。
海外のどの国の事例を見ても、自衛隊と同等の組織が最後の砦になるのは当たり前であり、「命がけで行っていることを理解してほしい」などという女々しい(言葉が差別的で悪いが)ことを公言するようであれば、辞表を提出してからすべきである。これは以前、雪印乳業の社長が食中毒の消費者被害を出した時に泣き言を言っていたのと同じだ。
産経新聞にも自衛隊幹部にも、国を守るという誇りが完全に失われている。