無為無策のツケ

日本は昨年10月、兵器開発問題をかかえるイランへの制裁措置をめぐり、米政府の要求に従って、権益を持つイラン南西部・アザデガン油田開発から完全撤退している。これは自主開発油田政策の失敗というよりも、無為無策のエネルギー政策の顕著な例と言える。
そして先週の金曜日、中国がイランのアザデガン油田に25億ドルの投資をするとの報道をフランス・レゼコー紙が伝えている。これは日本の無為無策と反対の、中国のエネルギー資源調達の多様化戦略の一環であり、最近のアラブ諸国民主化運動で、欧米石油資本に湾岸諸国の石油が供給されない場合にも通じる戦略なのである。
万が一、リビアに続いて産油国のサウジに民主化の波が押し寄せ、油田の管理と輸出がストップするか、民主化運動がイスラム運動に浚われた場合には、まさしくイラン体制が湾岸諸国の油田を管理するようになる可能性があるからだ。
馬鹿を見るのは無為無策の外務省やエネルギー政策のつけを支払う国民である。13652