アラブ民主化が可視化したもの

今回のMENA諸国(中東北アフリカ)での民主化運動は、これら地域における極度の貧富の差、親欧米アラブ政権の圧政、民族の誇りと民主主義への渇望が引き金になっている。
そしてそれらの動きが可視化したものは、新自由主義(極端な市場経済モデル)の拙速な導入による貧困層の増大、パレスチナでの移民政策と民主主義との矛盾、これらを可視化し民族の連帯感を高めたSNS、石油ガス取引を優先し圧政を看過した西側諸国、紛争地帯での武器取引の利益を追求する軍事産業であり、これらの背景にあるのはテロ防止という名目での西側の政治論理である。
しかし、アルカイダを敵とする米国にとって、ガダフィ氏がアルカイダを敵としたことは米国の外交の矛盾を露呈させているし、さらにイランやハマスを敵としイスラエルを味方とする米国はこれらの国での民主化運動の高まりを論理的に整理できなくなっている。
さすがに英国のキャメロン首相はエジプトを早速訪問し、旧政府、Muslin Brotherhoodならびにその他の野党との話し合いを行い、政権移行の円滑な実施をサポートする姿勢を見せているが、リビアへ行った武器供与や軍事訓練さらに石油取引などはガダフィ氏の狂気を看過した点で英国外交の汚点となった。
EUと米国は、短期的にはリビアの暴君を鎮圧し、中期的にはMEANの民主化運動を支援してイスラム化を阻止し、さらに長期的にはイスラエル民主化してパレスチナと共同政権を樹立しなければならない。またこのConsequenceで中国の民主化につながるかもしれないことから、日本としての対応も検討すべきである。