飼い犬に手を噛まれた、油まみれの英米伊

ガダフィ氏の民衆虐殺がトリポリで息を吹き返している。これらの惨殺に加わっているのが、(多くの軍部が民衆側に着いたが)一部の政府軍とアフリカからの外人部隊である。
また、これらの銃撃に用いられている銃器弾薬は、英米伊がリビアに提供してきたものと見られる。とくに2004年以降英国ブレア元首相はリビアとの石油取引を開始し、同時に武器供与も行っていたと言われる。さらに米国も2008年にブッシュ大統領の指示で当時のライス長官がガダフィ氏と関係修復を行い、同年にエクソン社が石油開発契約を締結している。
公知のようにリビアは1988年のパンナム機爆破の犯行を行っていたが、ガダフィ氏が変わったという嘘に、石油資源に目の眩んだ英米伊は騙されていたようだ。ブッシュ氏はテキサス州州知事を務めた人物であり、当然、オイルメジャーが背後にあったことだろう。
民主主義を謳う欧米諸国が、民主主義運動を抹殺する独裁者の武器の提供者となったことは国際世論の批判を浴びている。
さらにここにきてガダフィ氏は、反体制運動が米国とアルカイダの共謀であると言い始めている。このメッセージをアルカイダはどのように受け止めているのだろうか。単なる狂人で片づけられるのであろうか。
いずれにしても、チュニジア、エジプト、リビアと広がった民主主義革命は、イスラム革命ではないことが重要だが、イスラム革命に挿げ替えられないよう本来の民主国家たちは迅速に対応する必要がある。スイス政府がガダフィ氏の資産凍結を発表したが、世界各国でも迅速な資産・口座の凍結を行い、ガダフィ氏が傭兵に金を払えないように対応すべきだ。
しかし未だに産経新聞は「リビア騒乱」と題しており、今回の一連の民主化運動を正しく報道していない姿勢が懸念される。これはベルリンの壁崩壊と同様に世界の政治体制に大きなインパクトを持つのだが。