米国はアラブ民主化の支援を

中東では、米国の庇護のもとの<独裁権力下の>疑似民主主義から、アラブ民衆のもとのアラブ民主主義へ移行が始まった。それと同時に米国の庇護のもとにあるイスラエルの孤立化も強まっている。その結果、米国はイスラエル制裁の国連安保理決議に拒否権を発動した。
アラブ諸国では、米国がアラブ各国政府に供給する近代兵器ではなく、SNSという近代技術により、個人の自由と尊厳に対する民意が向上し、その結果民主主義革命へと発展した。この民意が搾取の台頭する権力制度から民主政治への移行を促した。
とくにイスラムでは、低所得者層の保護政策無しに剥き出しの資本主義の導入は危険だった。そして米国の政治権力への長期的な支援が所得格差を膨張させ、アラブでの経済貧困層を生みだし、さらに宗教過激派を生んだ。
しかし、今回の民主化運動に対して、アルカイダのような宗教過激派は同調できないことを宣言したことは幸いであった。アルカイダは「民主主義は神道主義を代替する」とエジプト民主化を非難しているのである。
米国は、アラブ諸国の和平のために先ずバハレーン政権をけん制する必要がある。体制側が民主主義を理解していたチュニジアやエジプトでは、民主化運動の弾圧は長く持たないことを理解していた。しかしバハレーン政権は反米のリビアやイランと同様に軍の過激な弾圧を行っており、それこそ米国は親米のバハレーン政権の強硬手段をストップさせなければならない。
米国はアラブ民主革命がアラブ諸国の安定をもたらす道であること、イランを押さえこむ<民主化させる>にはイスラエルによる軍事的な抑止力ではなく、アラブ全体の民主化による宗教過激派の封じ込めが必要であることを認識すべきである。
さらに米国がパレスチナで暴走するイスラエルを抑制できなければ、台頭するアラブ民主主義が抑制することになる。後者の場合には米国はアラブ和平での役割を終えることになる。これは日本のエネルギー市場にとっては大きな問題を起こす。
国際社会はイスラエルパレスチナの共通点を見出すことが重要であり、パレスチナが民主主義のベースをもち、パレスチナの国民の潜在的な生産性にはイスラエルと共通点があることを理解すべきである。
また民主主義を発展させるためには、貧困層を生みださないための経済政策が必要であり、それこそが民主主義を正しい方向に進化させるのである。
今こそ米国はガザとエジプト国境を解放し、イスラエルパレスチナとの平等な関係を構築することが重要であり、さらにアラブ諸国全体の民主化を支援することでイランの民主化を育成し、長期的な中東の安定に寄与することができるのである。