資源小国の日本は独自のアラブ民主化支援の政策の軸をもて

明日、金曜の国連安保理でのイスラエル入植拡大に反対するパレスチナ側の決議案に対する、米国とイスラエルの反応は、アラブ諸国に起きている民主化運動を反米運動に変えてしまう危険性がある。
さらにバハレーンで起きている王族体制側の過激な暴行は、第5艦隊の寄港地をもつ米軍にとっても、民主化側を反米側に回す可能性が出てきている。
今回のアラブ諸国民主化運動で、エジプトの見せかけのイスラエルとの和平交渉が振り出しに戻り、さらにエジプトなどの民主化のモデルケースと見られているトルコも、最近のイスラエル軍による公海でのトルコ船舶襲撃事件で反イスラエルの事情を抱えているからだ。
日本は米国の傘の下で、対中国・北朝鮮に対する防衛ラインの役割を担っている。しかし、中東問題でも米国の言いなりになり続けた場合、米国に比べてはるかに高い石油の中東依存度をもつ日本では、中東産油国での反米運動の高まりがスエズ運河の石油・LNGタンカーの往来に支障がきたしたときに、あっという間に深刻なエネルギー・ショックが襲うのである。
実際、昨日、イランの軍艦がスエズ運河を航行したという未確認情報が入り、スエズ運河を管理するエジプトがそれを即座に否定したくらい、中東諸国でのイランを含めた反米行動、そして石油タンカーのボトルネックであるスエズ運河の船舶航行に神経を尖らせている。
日本は今回の一連の民主化が反米にならないよう、もとよりアラブを敵に回さないよう、中東民主化に向けた日本としての政治の軸を明確にすべきである。中東の不安定化は、万が一の場合、米国よりも日本のエネルギー安定供給に計り知れないインパクトを持つことを、この国の政府・官僚は認識すべきである。
対米依存だった日本の中東政策は、もはや意味が無くなってきている。17142