お粗末な日本の報道

13日の朝日新聞電子版が「パレスチナ解放機構(PLO)の、イスラエルとの和平を担当していたエラカート交渉局長の辞任で、パレスチナイスラエルの和平交渉が一層停滞することは避けられない」と報道している。
しかし エラカート氏の辞任は、アッバス氏の率いるパレスチナ暫定政府とムバーラク氏のエジプト政府との間での密約がアルジャジーラ紙に暴露されて以来、時間の問題だったと考えられるし、ムバーラク氏なしではエラカート氏の立場は風前の灯であったはずだ。
さらにエジプトの民主化で、この密約を裏で仕切り、PLOイスラエル双方に資金援助を行っていた米国とEUの工作が明らかになる可能性もある。
エジプトのムバーラク政権の崩壊は、PLOとエジプトとの汚職を白日の下にさらし、パレスチナ民主化にも拍車をかけるだろう。そうすれば、アッバス氏の圧政も終焉するだろうが、そのときこそ米国とEUは真の民主化を支援すべきである。エジプト革命は欧米政府の中東政策を大きく見直すきっかけともなるし、パレスチナイスラエルの和平交渉は“停滞する”のではなく、欧米の支援する独裁政治家たちによる偽善行為から、民衆の声を基にした和平交渉へ変化するチャンスなのである。
朝日新聞の記事が未だにパレスチナ問題を欧米のロジックで見ているとすれば、それこそ民主化の波で砕け散るだろう。