アラブの明日は

エジプト革命が成功し、エジプトに文民政府が誕生し存続するには、現在の評議会を主宰するタンタウィ国防相の、真剣に軍政を文民政府に移管する決意と実行力がカギとなると思われる。
さもなければ1985年のスーダンの革命のように3年で文民政府が終わる可能性がある。確かに現代の民意はさまざまな電子ツールで守られているが、軍の力は強い。そして軍が前に出てきては歴史の後戻りとなる。
このエジプト革命が、イスラム主義というよりは汎アラブ主義を再興させたこと(アラブ革命?)、イスラエルが孤立する可能性が高まったこと、そしてトルコの政治力が高まったことなどが、今後のエジプトを含む中東和平の新たな要素となるだろう。
トルコと言えば、先日「アラビアのロレンス」という昔の名作を観た。そこに登場する都市はカイロ、アカバ、そしてダマスカスだ。そしてアラブの各部族が英国人であるロレンスとともにアカバとダマスカスを”トルコ軍”から奪回するというストーリーであるが、最近の動きはこの過去の流れを巻き戻しているような回想をしてしまう。
この映画ではアラブの各部族はばらばらでまとまらない光景が移されており、これが現在のアラブと同じである、ということとなると、軍や独裁君主なしには秩序が安定しないアラブの悲劇が再来する。
イスラエルは強く、アラブは弱い」というのはイスラエルの高飛車な主張だけでなく、国家をまとめる国民としての団結力の弱さを表わしているとすれば、アラブの民主化の定着には時間がかかるのかもしれない。
イスラエルパレスチナに対する暴力行為やイランの過激なイスラム主義を止めるには、国際社会による「平和なアラブ主義」へのサポートが必要だ。 74632