ルノー機密漏えいで日本は黙っていてよいのか

ルノーはパリ地検に電気自動車の機密漏えいで訴えを起こしたが、ルノーの15%の株式を保有するフランス政府には報告が行っていなかったようだ。フランス産業相のBesson氏は憤りを隠せないと述べている。
また、11日の仏ルモンド紙には興味深い内容の記事が載っているので以下に記す。
「フランス、ドイツ、米国のような成熟した自動車市場シェアを狙い、既存のエンジン技術の遅れを補うための新技術の必要な国は、中国とインドである。」
「中国には個人情報というものが存在せず、民間企業レベルで諜報活動をすることは不可能である。さらに中国の大企業は中国共産党の許可なくして諜報活動を行うことはできない。欧米では企業内部で情報収集を行ったり、上場している企業の情報を収集企業が存在することが、中国とは大きく異なる。」
「中国は欧米諸国から、国としてのスパイ活動やサイバー攻撃を行ったと非難されている。」
「しかし、フランス政府は中国に対して常に弱腰であり、今回の問題では中国に何も注文は付けられないだろう。」
「企業情報の管理や産業保護では日本や米国が勝者であり、さらに中国、ロシアも目を離せない。将来はブラジルやインドが強敵になる。」
「フランスは産業政策では常に臆病で、何かあればすぐEU頼みである。フランスにはアングロサクソンのような対抗ツールがない。米国はすぐにホワイトハウスが動いて高いレベルでの政治判断を行う。」
「フランスは昨年12月に発表したように、機密情報に関する法律を制定すべきである。しかしフランスの新幹線TGVを買ってくれるような中国に対して、このような法律を適用できるだろうか。」
「だからルノーも事なかれ主義に走り、政府にも何事も報告せず、自分たちが被害者だとしてパリ地検に訴えを起こしただけで、内輪で解決を図ろうとしている。」
ここで問題なのは、ルノー日産自動車が40億ユーロ(4500億円)も投資した電気自動車開発に関する情報漏洩が起きた可能性がある点だ。
ルノーから漏えいした機密情報は、もとともは日本の技術から派生したものかもしれない。
これは日本にとって対岸の火事ではなく、自国の機密漏洩問題としてとらえるべきであり、さらに経済力を拡大する中国に(フランスのように)何も言えない弱体国家になるべきでないことを尖閣問題とともに肝に銘じるべきである。