何も元に戻らない

政府は9日、中国国内で拘束されていた中堅ゼネコン「フジタ」の社員全員が解放されたことで、日中関係の改善の兆しがより確実になったとみて歓迎している。
しかし 「いろんなことが元通りに戻っていくと思う」というのは、まったく甘い。平和ボケに元通りに戻っていくだけだ。
前回も書いたが、このフジタの社員の行動は全く不可解であり、実態の究明が求められる。さらに尖閣問題との関係があるのかないのかも重要だ。
さらにノーベル平和賞を受賞した劉氏については、中国政府は相変わらず人権無視・時代錯誤の対応である。
うがった見方をすれば、劉氏のノーベル平和賞受賞の可能性が見えてきた段階で、中国政府は国内の引き締めにかかった。そのためには国外に敵を作る必要があり、日本および尖閣問題が格好の標的となった。尖閣騒動は国民の関心を国外の問題にひきつけるカムフラージュだったのかもしれない。
しかしながら世界の中国の覇権主義に対する反対は想像以上であり、結局は尖閣諸島への監視船の派遣も引っ込めた。そこで案の定、タイミングをはずして劉氏の受賞が発表され、中国政府は日本を仮想敵とするキャンペーンを引っ込めたとたんに国内の引き締めをするという最悪なタイミングになった。
日本は、尖閣問題が無くなったのではなく、世界の目が中国の覇権主義反対を再認識したこと、そしてノーベル平和賞受賞者に対する中国政府の人権弾圧に対して正式に抗議する必要があること、を理解すべきである。
そして日本政府は、宮古島市長の申し入れのように日本の国土を守る義務と、中国政府の人権弾圧に表わされる暴力主義(これが尖閣諸島問題の根本である)に反対する責任がある。