動揺するフランス

読売新聞が「1日発行の仏紙ル・モンドは、中国が尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件をめぐる一連の対応で、「粗暴な大国の顔をさらした」と批判する社説を1面に掲げた。」と伝えた。
フランスの主要紙はサルコジ財閥が保有していると言われ、表立った政府批判は主要紙には載らない。このタイミングで、中国を長年の旧友とするフランスが中国批判に出た背景には理由がある。
それは、フランスと中国が秘密裏に通貨政策に関する協議を続けていたにもかかわらず、中国政府が強硬な人民元の割安誘導を続けていることに対するフランスの反発と、さらに人民元安を武器に稼いだ外貨で、EU内の財政破たん国であるギリシャに5億ユーロのインフラ投資を中国が発表し、フランスのメンツをつぶしたことが考えられる。
前者に関しては11月のG20会議でフランスによる中国への対峙が考えられるが、ルモンド紙での中国批判でその前哨戦をフランスが開始したと思われる。
フランスは日本が躍起になっている原子力ビジネスの輸出に関しても、微妙な立場を取ってきた。フランスの国益を代表するフランス電力EDFは、以前から中国広東省の電力公司と事業協力を行い、最近では、中国製の原子炉をEDFが売るような計画も取り上げられていた。一方、フランス国内でEDFの競争相手であるGDF Suezは、EDFが相手にしなくなった日本に対して、アレバー三菱重工の中型原子炉の売り込みに協力する姿勢を取ってきた。
この中国の覇権主義の露出に対するフランスの動揺が、EDFの姿勢に変化をもたらし、中国離れと日本を含む西側への再接近となるかもしれない。