国家と人民の区別を

華僑の子どもらが通う神戸市中央区神戸中華同文学校に27、28日、男の声で「尖閣諸島の件、なめたらあかんぞ。殺すぞ」などという脅迫電話が計3度かかったほか、28日には生徒に危害を加えるという内容の脅迫文が郵送されたそうだ。
これはまことに遺憾な(神戸地区の)日本人の行動である。
以前、アメリカ人は「アメリカは好きだがアメリカ政府のやり方へ嫌いである。」と話すのを聞いたことがある。日本人は日本という国と政府を区別していると思うが、海外から見た日本に対して、「日本製品は好きだが、日本人は顔が見えない。」と聞いたことがある。パリの店では「日本人の方が中国人よりまし。」という意見もある。ただし、日本が1990年前後のバブルのとき、団体で海外に押し掛け札びらを切って威張っていた姿は、今の中国人団体客でひんしゅくを買うのと、あまり変わらない。つまり、アジア人は団体になると羽目を外すし、暴徒と化する可能性がある。個人主義でなく全体(村社会)主義だからだ。
提案だが、日本に住む中国人、日本に帰化した中国人、そして日本に旅行に来て帰ろうとする中国人に対して、「尖閣問題の日本と中国の対応」について、インタビューをしてみたらどうか。(名前を出すと中国の公安に目をつけられる可能性があるが。)そうすればより中立的な意見や解決策が聞けるかもしれない。
さらに今回のソリューションとしては、クリントン元大統領が北朝鮮で拘留された米国人を救うために訪朝したように、日本側も(尖閣問題とは別に)政府関係者を訪中させて交渉する必要がある。とくに中国で大見えを切った小沢氏や田中真紀子氏などは先方にとって受け入れやすいのではないか。
話は戻るが、中国の覇権主義による暴走行為は以前から予知できたし、本稿でも「普天間海兵隊をグアムへ移転すると、日米の対中防衛ラインがダメになる」と警告している。
今回の中国政府の行動はあくまで政府の無謀な行為だ。一方、在日の中国人は中国よりも日本での生活や国籍を選択しているのであり、彼らを攻めるは全く逆である。それよりも彼らの意見を聞き、逆に彼らに日本の民主主義(右翼は別だが)の良さをアピールさせるように持ってゆくことが、日本の世界での理解と地位向上につながると考えられる。
決して在日中国人を責めてはならない。責めるべきは、中国政府であり、漁船により侵略を試みる半軍人である。
小生の知り合いの中国人でも、政府が嫌いで米国、カナダ、豪州、日本に移住・帰化した人間が大勢いる。彼らを敵に回すのは本末転倒だ。無知蒙昧な右翼の行動を日本は制する必要がある。(本当の憂国ならば漁船を買って体を張って尖閣で自衛行動をすればよい。)
日本人が、「中国ってこんなにひどい政府だったのか」と思っている矢先に、在日中国人に「日本人ってこんなにひどい人たちだったのか」と思わせるのは最悪だ。