日本の後進性

29日から横浜で開かれている再生可能エネルギー国際会議のセミナーに出てつくづく驚いた。
基本的には国やNEDOの支援での会議で、わざわざ「国際」と位置づけていることもあってセミナーの講演も質疑応答も全部英語だ。
そこで多くの問題が見受けられる。第1に講演者(その多くが日本人の学者たち:何々大学の何々研究室の何々教授)の英語が非常にお粗末なことである。第2に各テーマの講演者につき、一人ひとりの司会(moderator)が付いていて、彼らもまた「学識経験者」であるが、ほとんど英語での議事進行どころか、海外からの質問者の内容も理解できないし、分からないから「時間がないから終わりです」になる。パンフレットでは彼らはChair(司会者)で議事進行役なのにまったくその能力がない。各セッションの終わりに「質問はありませんか。」となげかけているが、質問をまったくハンドルできない(ことを何とも思っていない。)
NEDOも国も学識経験者は英語ができると思っているらしいが、そりゃあ論文は英語で書けても話せるのとは訳が違うことをわからないのだろうか。
第3の問題としてその内容に問題がある。小生の出た講座では、さらに発表者の内容が稚拙で、海外からの出席者の失笑を買っていた。彼らの内容が突拍子もなく自分たちの研究成果の断片的な発表であったり、「これは新たな計算方式で算出時間が短縮されます」と言ってもまったく内容(方程式〜英語の質問者はアルゴリズムと言っていたが説明者はその意味が分からなかったし、Chair の人間もサポートできなかった)を開示していないので、一体何が発表の内容なのか、聞くほうはまったく分からない。
日本の学者と呼ばれていても、世界からすれば、専門分野の学生の発表会としか映らない。英語も内容も会議進行もあまりに稚拙で幼稚だからだ。
海外からの講演者は通常、最初に技術開発の背景を説明し、全体の中でなぜこの技術が必要なのか、時系列的には何年ごろに実用化されるのか、市場が必要とされるコストに追いつくのか、理解しているし説明している。
しかし、日本の場合にはそういった理解も説明もなく、単に数式とどうやって変数を変えてシミュレーションを行い、実証したか、その結果は何かだけで満足している。
小生はタイやマレーシア、デリーでの国際会議に出たことがあるしプレゼンもしたことがある。訛りはあっても現地の人たちの英語力はそこそこだし、(日本人のように変ではなく)にやにやしてごまかさない。また講演者だけでなく議事進行役も普通で英語で行う。
これでは日本人というか日本の技術発表のレベルの低さを世界にむけて発信しているようなものだ。
英語が下手なら通訳を雇うべきだ。議事進行に慣れていないのなら専門のmoderatorを雇うべきだ。未熟な発表をするのなら、それを誰か第3者が事前チェックすべきだ。
顔から火が出るような日本の醜態であった。