選挙とサッカーに浮かれている場合だろうか

フランスのロシア外交が活発だ。
過去において、ロシアとドイツは隣国であるとともに経済パートナーとして活発な人事交流と経済投資を行ってきた。
しかし、フランスのサルコジ大統領は6月26−27日にカナダで開催されるG8 とG20会議を前にして、6月17日からロシアのサンクト・ペテルブルグで開かれた第13回国際経済フォーラムに乗り込み、フランスとロシアの経済協力を一挙に推し進めた。
そして19日の土曜日にサルコジ大統領はメドベージェフ大統領と、両国の企業間で20以上の経済協定を締結・約束したと発表した。フランスからロシアへの投資は30億ユーロ以上、ロシアからフランスへの投資は20億ユーロ、フランス企業との契約額は25億、そしてロシア企業との契約額は4億ユーロである。

以下にその主な内容を書き留めた。
*フランス電力EDFはロシアの原子力企業Rosatom と原子力の研究開発分野で協力する。
*フランス・ベルギーのエネルギー会社GDF Suezがロシアの巨大ガス企業ガスプロムと省エネ分野で協力する。
*GDF Suezがロシアから欧州に天然ガスを供給するノースストリーム天然ガスパイプラインに9%出資し、EDFがサウスストリーム天然ガスパイプラインに10%出資する。
*フランスAlstomはロシア車両メーカーTMHに200台の貨車を供給する。金額は5億ユーロ。
*ダノンとロシアのウニミルクはロシアに乳製品のJVを作る。フランス側の投資額は13億ユーロ。
*フランスが主体の航空宇宙産業Arianespace社は4億ユーロでロシアのソユーズ発射装置を購入する。
*ロシアの不動産グループのエルミタージュ社とフランスのEPADが共同で高さ300mのツインタワーを建設する。EPADは1.3億ユーロを出資する。

日本からはこの国際経済フォーラムに大和証券グループの清田 瞭取締役会長が出席したとウェブサイトには載っているが、彼以外には日本からの大手企業のメンバーは見られない。(http://forumspb.com/)しかし諸外国からはノキアやシスコなど、海外での稼ぎ頭の企業のトップが大勢、顔を揃えている。日本は何をしているのだろうか。

日本は、過去において自動車や家電製品で海外市場を席巻し、今の国富が築かれたわけだが、経産省再生可能エネルギースマートグリッド技術のシステムの輸出で、官民共同会社を設置しようという掛け声だけだ。

フランスは2007年5月にサルコジ大統領が誕生して以来、彼が積極的な外貨稼ぎのリーダーシップを取っている。当時は2007年9月に終焉した阿部内閣の時代だった。しかし日本ではその後、福田、麻生、鳩山、菅、と首相が4人も代わっている。

そのたびに政党のための政治、選挙のための政治が繰り返され、国民の生活や経済のリーダーシップは政治家も経済界もすっかり忘れている。
わが国は外貨を稼いで今までの成長が可能だったのであり、今後もそうだということを忘れてはならない。