英国の不安

英国総選挙が行われたが、与党の労働党も野党の保守党も過半数を取れないと見られる。
これは英国にとって前代未聞(1974年にわずかな時期があったが)であり、それは米国と似ていて、今まで2大政党のいずれかがが必ず過半数をおさえて政権をとってきたからだ。欧州大陸のイタリアもドイツも与党が少数政党と連立を取ることが多いが、英国では稀有なのだ。(日本でも稀だったが、すぐに慣れたようだ。)
したがって今回の選挙で生まれる議会は、Hung Parliament、宙吊り議会と呼ばれている。興味深いことに、英国下院House of Commonは討議のための座席の配置も2極の対面式であり、3極で座るには不向きにできている。
現段階では分からないが、現与党のブラウン首相は辞職しない可能性もあるが、おそらくそれでは政策執行が困難になり、いずれは辞職するだろう。あるいは劣勢を回復するために自由民主党と組むという行動に出るかもしれない。
本来は過半数を取った政党から首班指名をするエリザベス女王が政局を決めるのだ、という風刺漫画も見られる。
英国民には未経験の事態となり、今後の政局に大きな不安を感じていることは確かなようだ。