英国、日本そしてアイスランド

欧州のエネルギー市場でも英国は最もリベラルだ。ドイツが技術者の国、フランスが行政官僚の国であるとすれば英国は経済学者の国だからだ。
今、そのリベラルな英国が総選挙に突入しようとしている。そして有権者は過去に例を見ないほど、魅力的な政党がないことに苦しんでいる。
2回目の党首討論は、保守党(トーリー党)、労働党民主党が約1/3ずつの勢力をもつほど、今までの保守党と労働党の2大勢力が弱ってきている。
昨年9月のドイツ総選挙ではメルケル政権が主導権を握る結果となり、右傾化となった。そして原発廃止案が延命策に転向した。
そして今年3月のフランス地方選挙ではサルコジ大統領の与党が大敗し、2年後の総選挙の行方が見えなくなっている。
英国では最近まで与党の労働党のブラウン首相は保守党の勢力拡大に傍観者的な立場だったが、ようやく巻き返しを図った様子だし、さらに万年マイナリティの自民党が急速に躍進してきていることも過去に例を見ない。
オバマ政権も右傾化の兆候が見られる中、わが国の参議院選挙は英国のように、どの政党も主導権を握れない、分裂型の結果になるかもしれない。第3極を目指しているのは新党たちだが、民主党自民党もすべてが第3極になったら、この国の国家運営はどうなるのだろうか?
ギリシャのように財政破綻の危機を抱え、さらに中国のヘリが自由自在に国境を侵犯し、在日米軍のあり方など国防議論を長年放置した日本では、先送りした数多くの問題がアイスランドの火山のように噴火するかもしれない。
国民全体における危機感を高めるよう、メディアには「まともな」報道姿勢をもってほしい。