金融オンチは前に出るな

ガイトナー米財務長官が8日に北京に飛んで、中国の人民元問題をめぐる詰めの調整もした。3月のオバマ大統領の人民元の切り上げへのけん制に対して、ガイトナー長官は中国の自主的な判断を待つとした。
実際、中国政府は年内の相場上昇を2〜3%に抑え、1日0.5%に限っている元相場の変動幅の拡大を検討しているようだ。
一方、日本の菅直人副総理・財務相は今月の訪中で、中国・人民元の早期切り上げを求める米欧とは距離を置き、対ドル相場の維持に一定の理解を示す考えを表明した。
菅氏は人民元問題で中国に圧力をかけるのではなく、自発的な対応を促す考えのようで、背景には日米の対中貿易構造の違いがある、というものの、2国間の貿易構造はすぐに変化するのである。菅氏は国際金融の専門家でも何でもない。財政金融のプロの欧米の財務省とは知識も経験も明らかに不足しているのに、このような戯言を吐くこと自体、わが国外交での愚行である。
さらに民主党は、欧米と距離を置き、政治と外交の基軸を中国よりにしていることについて、国民に明確に示し、合意を得ていない。沖縄普天間の県外・国外移設を力説して選挙に勝った鳩山氏は、欧米なしでの日本、そして欧米なして中国と対等に協議ができる日本の幻想をもっていないだろうか?
中国は一党独裁であり、北朝鮮も同じである。中国・北朝鮮と接近し、自由主義圏に砂をかけることは国民が納得したのだろうか、それとも宇宙人の頭の中の空想的な夢物語なのだろうか?その妄想を実現しようとすれば、国民はすぐにブレーキをかけなければならない。
時代錯誤の(そして現実に辞任要求の高まる)小沢幹事長が、中国や北朝鮮と同じように民主党一党独裁を求めても、もう国民は納得しないだろう。(それらの国を母国とする福島氏は大歓迎だろうが。)5月になって普天間で政府が失脚する間際に、またまた小沢辞任の茶番劇を繰り返して民主党の人気アップを狙う作戦は、ワイドショーでも見飽きた話になるだろう。