なぜ韓国勢が勝てたか

ビルゲイツ東芝原子力事業に興味をもって接近している。しかし最近、韓国電力KEPCOを幹事会社とするコンソーシアムがUAE向けの原子力発電所の受注競争に勝ったことの意味は非常に大きい。相手は日米連合やフランス連合という世界のトップリ−ダー企業である。
韓国のリーミョンバク大統領はヒュンダイの元CEOで、本人が直接原子力発電所の建設に携わっていたし、1年近くもUAE向けプロジェクトを推進してきた。サルコジ大統領にはそういった経験がないから説得力にも欠けた。鳩山氏に関してはnothingであろう。KEPCOが世界で20基の原発のオペレーターである点、ヒュンダイやドウーサンなどメーカーも巻き込んだコンソーシアムである点にもまして大統領の深い知識と経験が、低価格、固定価格などよりも相手国には魅力的に映ったのである。

世界における原子力産業の競争は良いことである。さらに言えば、グーグルが撤退する中国人でも「グーグル亡き後は中国の検索ビジネスが有利になるが、長期的には競争相手がいないと良い製品やサービスが生まれない」と言っている。

これは日本の原子力発電ビジネスが国内では競争がない状態であり、海外でのみ競争するというマインドセットと正反対の考え方である。それどころか、日本は役所の考えでも電力ビジネスは保護するものと考えているし、その結果スマートグリッドでも国内の電力会社やそれにぶら下がるメーカーが世界の競争に勝てるわけがないから、政府がむりやり音頭を取ってプラモデルの内外プロジェクトを立ち上げている。

友愛などと寝ぼけたことを国際競争社会で言っている場合ではないし、今回のトヨタ問題でも政府の米国対応が遅れたことは、日本政府の財界オンチが甚だしいことを物語っている。鳩山氏がベトナムへ行って原子力ビジネスを推進しても実質的にどのくらいの説得力があるのか、セールスマンシップがあるのか、非常に疑問で不安が残る。国内での競争市場を作ること、政府にビジネスマインドを持たせることが喫緊の課題だ。

労組と日教組ばかりが目立つ。そしてそれらの支持母体の意向に気を使う政府では日本は世界のビジネスから取り残される。