性描写への一考察

子どもを性的対象に描いた漫画やアニメを規制する東京都の青少年健全育成条例改正案が議論の的になっている。
 一部の漫画家は「表現の自由」に関する主張をしている。
しかし、芸術と漫画は異なることを理解しているだろうか?
漫画は大衆芸能あるいは大衆文化として重要な位置づけがある。しかし、その享受者は幅広く、一般的であるが故に、社会的な影響力も高い。
とくに若者への性的な暴力の表現は、描いている漫画家の世代と今の読者層の世代では受け止め方が異なる。さらにこれら漫画家が育った時代と現代の若者が生きている時代では、性に関する情報量が違い、前者が考えられないほどの性的描写に埋もれた今の若い世代が求めるのは、ある意味で極端、または異常な世界であり、作者側にとってはそういった異常であり犯罪性を含む描写でなければ若者にはアピールできない時代なのである。
こういった世代と時代の格差を、「表現の自由」を主張する漫画家たちは見落としているのであろう。
異常性、そしてそれが大衆文化であるという点、さらに被害者を創出する虐待性を伝播している虐待性を含む性描写の漫画は芸術とは呼べない。