Law Enforcementを市町村に

下記にも書いたが、区や市の条例は守られない場合が多い。最近では路上喫煙である。都内の多くの区では一定の路上や全域にわたって歩行禁煙を条例で定めている。前述の杉並区の例では2000円の過料を徴収します、とのポスターもある。しかし、この禁煙条例を周知させる昇りをもって歩いているのは、はっきりいって違反者と取り締まる体力のない老人たちであり、その実効性がない。だからモラルのない人間は、条例を完全に無視して「どうせ何もいわれないから」と違反を繰り返している。
問題なのは近くに警察署や交番があっても、区の条例違反を摘発することがないことである。例えば米国では市や郡の法律が最も身近で厳しく、その法律の違反者には市や郡を管轄とする警察に取り締まり権(enforcement)が与えられている。ところが日本では市や郡の法律は何の効力もなく、警察も無視するという異常事態であり、本末転倒なのである。
規制の主体は自治体であり、自治体から取り締まる権利を与えられた各地の警察でなければ、本当の自治は生まれないし育たない。日本が法治国家になるためにも、各自治体の法治能力の確立、そして自治体ごとのenforcementの警察への付与、警察の自治体帰属によるローカルな住民の安全確保といった基本的な図式を描くことを、新たな政権で掲げるべきである。それが本来の地方分権の初めの一歩であろう。