稼げない日本

ていたらくな政治家をていたらくな国民が選んだ結果、ていたらくな経営者が蔓延している。
そもそも日本は島国で海に囲まれているが故に、世界の流れからは地理的に隔離されている。しかし資源小国、地震大国の日本にとって外貨を稼がなければ小麦も発電燃料も輸入できない。しかし今までの経営者は海外に目が向いていたしその努力が「海外で勝負できる」日本製品につながった。
ふりかえって今はどうだろう。国内市場が繁栄した一時の過去の記憶にすがり、技術やノウハウを海外で稼ぐ意志と意欲、それにそれを支えるための国内市場の整備をすっかり忘れている。
よい事例が次世代電力網だ。国内のメーカーは、電機メーカーや電子通信のソフトウェア・メーカーを含めてすべて国内の電力会社の言いなりで、海外での事業展開や技術輸出を忘れてきた。国内の電力会社は競争のない世界で安泰となり50年も同じ体制を維持している。
その結果、欧米や中東で進展している再生可能エネルギーに対する実証実験が国内ではできず、さらに次世代電力網を利用した新たなエネルギー市場の創出が国内では不可能になっている。
つまり50年前の制度を守っているために、国内ではどのような新しい技術もシステムも展開できず、また実証もできず、国内のさまざまなメーカーが海外で稼ぐチャンスとタイミングを失っている。
それによって国内産業の空洞化が進み、地方産業の疲弊が加速し、地方経済と地方自治の根幹が崩れ、同時に地方の電力会社も沈没してゆくことを、これら企業の経営者は看過している。つまり、自分たちが無事にリタイヤすれば、今の従業員の将来はお構いなし、という経営者の不見識が根底にあるのだ。
しかし、経営者のていたらくと不見識を招いたのは政治家であり、彼らが経営者に刺激と高いハードルを与えなかったせいである。そしてそれらの政治家を選んだのは国民なので、結局は自業自得なのかもしれない。