安物買いと問題の先送り

デフレ、デフレと世の中が騒いでいる。
エネルギー資源も食糧も自給できない日本にとってデフレは大敵だ。
便利で安いモノが誰でも手に入り、消費生活が豊かになったのは幻想であり、モノの価値は本来上がらなければならない。しかし、消費者が手にする食料品価格やエネルギー価格は据え置きか低下してきている。これにはトリックがあることをジャーナリズムは無視している。
米国の最近の報道にあるように、安い食料品(とくに牛肉)は家畜のえさにしかならないコーンを大量に与え、運動のできない家畜舎で病原菌に囲まれて育てている。病気があるからこれには抗生物質を大量に投与している。このような安物で薬漬けの肉をミンチにしてハンバーガーとして大量に販売している。
大衆向けの飲料水もそうだ。これに使われるコーンシロップは砂糖よりも割安でカロリーが高すぎる。最近、電車の中で肥満の人が増えているわけだ。景気低迷と所得の減少、安い食品買い、カロリーの異常摂取、肥満、は連動している。
つまり、経済敗者が肥満になる循環を米国が作り出し、日本がそれを輸入している。
今、安いからといって買い求める食品にはワナがある。それはカロリー過多、肥満であり、さらには抗生物質の塊を食しているリスクである。その結果、安物買いでリスクを取り、本来高価であるがゆえに少量しか食さず、少食で健康な生活を失っている。
これらはエネルギーでも同じであり、原発という廃棄物処理の問題を先送りし、コストを先送りしているからこそ、安価に見える原発の電力を「今」享受し、そのリスクを先送りしている。
太陽光発電風力発電も高価である。しかし高価だから大事にし大切に扱おうとするのだ。
価格は需給のシグナルである。それを忘れた政治家が大衆に迎合して選挙に勝つために、安い食品と安いエネルギーを分け与え、後世に多大な禍根を残していることを忘れてはならない。