25%ショック

産業界が揺れている。鳩山政権の温暖化削減案が25%とアナウンスされ、国内で大騒動だ。日本の産業界は過去に自主行動計画を作り、中国が参加しないのならば日本は無理でしょう、と多寡をくくっていた。それがいきなりひっくり返されたからだ。

それに対する産業界の反応は小学生並みだった。これでは従業員カットしかない、という発言は、は夏休みの宿題をサボっていた子供が登校日前に気がついて、それじゃあボク死んじゃうもん、と言っているのと同じだ。

中国は過去3年間に温暖化対策で確実に変化してきている。欧州のEU排出権取引システムEUETSの2012年から始まる第三フェーズの内容を今年4月に発表している。さらにEUでは温暖化対策としての新エネルギー・システムの研究プログラムであるFP(フレームワーク・プログラム)が6番目まで進展し、最近ではFP6の中のEU-DEEPという分散型エネルギー・システムの研究成果を発表した。

ここでは電力会社のネットワーク部門、エネルギー取引市場、温暖化のための分散型エネルギー設備、需要家サイドの省エネ、を組み合わせている。この中で日本が実証できるのは省エネ機器だけで、エネルギーの供給システム、制度、市場ともにEUのレベルに追いついて居ない。日本の機器は世界のトップレベルなのに対して、国内のシステムや制度は1950年代と同じだ。

日本の温暖化対策は旧来型の制度や供給システムを変革すれば、25%の目標達成が可能となる。自らの既得権益を数十年間守り通してきたエネルギー業界を変革しなければならない。電力会社のネットワーク部門を独立して風力や太陽光などの新型電源を接続させ、電力やガスの取引市場を抜本的に改革し、送電権取引やCO2排出権取引を欧米のように整備・発達させる必要がある。

ノーアイデアの産業界をひっくり返す知恵は我々にある。