民主党は情報発信を

オバマ政権がブッシュ時代と異なるのは情報発信である。それは政権交代の前から有権者の意見をオバマチームのウェブサイトで収集してきたし、さらに政権自体がサイト上で情報を公開、発信している。それは政権移行期にも重要性を発揮した。混乱を避けるためでもあった。
日本では民主党政権交代し、しがらみの脱却と情報公開を旗印にしている。しかし、メディア側が旧自民党を取材する発想と枠組みのなかで報道していることにより、(民主党が本当に政治改革を断行しようとしている場合には)間違って伝えられる可能性がある。
ここでのソリューションは2通りある。一つはメディアの政治を伝える報道システムを刷新することだ。例えば霞ヶ関番記者制度を廃止し、官僚の言う(あるいは誘導しようとする)情報ネタを伝えることをストップし、記者自身が頭で考えることを始めるべきである。
さらに国会議員の発言内容と法案の賛成反対の議員名を公開し、さらに記事を書いた記者の名前を紙面で開示することが必要である。これはメディア改革であり、メディア改革がなければ政治改革はできない。必要によっては報道部署の人事を入れ替えて旧来的な発想しかできないメディア企業の老獪経営者には退場願ってもらおう。
二つ目はウェブサイトの効果的な利用である。メディアが前述のように55年体勢の頭しかないのであれば、政府そのものがメディアを凌駕し、(官僚任せでない)情報公開を行うことが求められる。例えばウェブサイトで政府の政策や方針を具体的に示したり、説明することが大切だ。また動画の時代なので、政府の広報テレビをウェブサイトで流して、メディアの報道内容を補正したり、あるは反省する点があれば謝罪する内容であっても良い。ただし決して政治的プロパガンダ大本営発表にあってはならないように、第三者機関によるチェックを入れたウェブTVである必要がある。(第三者機関には当然だが老獪経営者や御用学者は要らない。)
この政府のウェブTVは日本語が主だが、英語での放送も望ましいし、ケースによっては中国語や韓国語も必要だ。今回の鳩山氏のペーパーがかなり端折られて米国の新聞に報道されるような場合には、それに対して英語のウェブTVできちんと説明しないと、それこそ日本の国益が損なわれるのである。
日本の首相が例えば米国の大統領と関係を良くすることは当然だが、米国の大統領を動かすのは米国議会である。その米国議会の情報源は残念ながら日本のメディアではなく米国のメディアとなる。米国メディアが注目し、それによって米国議員の目に留まり、その結果、日本の政策が正しく理解される英語のウェブTVが必要な時代なのである。